身近な出来事で検証する著作権に関わりのある10の事例

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前回は著作権についての説明をしました。今回は実際に何が著作権の侵害に該当するのかを、身近な出来事の中から10の事例をもとに検証します。
会社での新聞のコピー
著作権者の許諾なしに会社でコピーをしてしまうと複製権の侵害にあたります。コピーするには複写の委託を担っている、日本複写権センターへの契約が必要です。コピーしたい新聞または雑誌が日本複写権センターに登録されているものに関してはコピー可能です。日本複写権センターに登録されていないものは、著作権者となる出版元などに直接の許諾が必要です。
WEBサイトへのグラビアの掲載
WEBサイトへのグラビアの掲載は公衆送信権の侵害にあたります。掲載するには雑誌の出版社の許諾が必要となります。また、グラビアにトリミングなどを行う場合には著作者への同一性保持権の侵害にもなりますので、トリミングを行う際はそちらの許諾もいるので注意が必要です。
ブログに他の人の記事を引用する
引用という形であれば、著作権者に許諾を得ずに掲載する事が可能です。ただし、引用した部分をそれ以外の部分とはっきり区別して、著作物の出所を明らかにする必要があります。また、引用によって著作者の人格を傷つけることを書いた場合民事上、刑事上の責任を問われる場合もありますので注意が必要です。
フリーソフトの使用
フリーソフトは無料で使用出来るソフトウェアのことを指します。ここで注意しなくてはならないのが「無料=フリー」ではあるが「著作権の放棄=フリー」とは限らないという事です。著作権を放棄していない場合著作権は製作者にありますので許諾なしに配布したりすると譲渡権の侵害にあたります。ライセンス条項などの記載をよく読み、確認してから使用するようにしましょう。
パロディの作成
「パロディ」とは著作物の特徴的部分を引用して別の内容を表現し、既存の著作物などを風刺、批評する行為です。海外ではパロディが権利侵害にならない国もありますが、日本では複製権、同一性保持権の侵害にあたる可能性がほとんどですので注意が必要です。パロディとして使用するにも著作権者への許諾が必要になりそうです。
著作権フリー素材の使用
保護期間が満了したものや著作権者が著作権を放棄したものが「著作権フリー」に該当します。ただ、著作権が完全にフリーのものはあまりないようです。一定の条件下でなら使用が認められているというものは数多くあります。それに関しては、前回の記事でクリエイティブ・コモンズについて説明をさせていただきましたのでそちらを参考にしていただきたいと思います。→こちら
ブログに別のブログの写真を使用
写真の著作権は通常写真を撮った人にありますので、先ずは著作権者がブログを書いた人かを明確にする必要があります。ブログを書いた人の許可を得ても写真を撮ったのが別の人であれば著作権者であるその人にも許可を得る必要があります。また、著作権者がブログを書いた人でその人の許可を得ても、著作者が別であれば写真の加工をする際は同一性保持権の侵害にあたりますので注意が必要です。
WEBサイトの複製
WEBサイトをそのままコピーすることは当然ですが複製権の侵害となります。コピーしたものを改変して使用したとしても同一性保持権の侵害にあたるので絶対にいけません。WEBサイトの文章や画像、音楽なども著作物であり、これらを許諾なしに使用すると公衆送信権の侵害にあたります。ではHTMLタグなどはどうでしょうか?これらは創作成がなく、著作物にあたらないとの裁判例があります。だからと言って無断で丸々使用するのはモラルに反しますので、参考程度にするのがいいでしょう。
WEBサイトのリンク
WEBサイトのタイトルやURL自体はWEBサイトの内容を参照しているだけですので、著作権侵害には該当しません。バナーを使用したリンクはバナー自体が著作物となりますので著作権者の許可が必要です。
CD,DVDのコピー
私的使用目的でのコピーは著作権侵害には該当しません。しかし、注意が必要なのはコピーコントロールを回避しての複製は私的使用目的であっても著作権の侵害にあたります。
日常生活の中で、知らぬ間に著作権を侵害してしまう可能性は誰にでもあります。今後はSNSなどのさらなる発展を受けて、著作権に関しても少なからず知識を深めていく必要がありそうです。